松方コレクション展

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「松方コレクション展」が開かれている西洋美術館に出かけた。
ひと頃の暑さもようやく終息か、という9月12日。
会期終了も間近な週日、すでにチケット売り場前には長蛇の列ができていた。

レストラン「すいれん」にて、従兄と待ち合わせた。
外の椅子に座って空席を待っていると、こちらもあっという間に人の列ができ上がった。

常設の松方コレクションならいつでも観ることができるのだが、コレクションの全貌を知りたい、という人が、根気よく列に並ぶのだろう。
コレクションを見終えた結果、やはり来てよかった、という感想を持った。
展覧会というといつでもそうなのだが、行くまでは期待より億劫さが先に立つことがしばしばある。
以前から複製を観慣れていても、本物は力強いオーラを放って鑑賞者を惹きつける。
本物が持つ力は、美術館に出かけなければ味わうことができないものだ。
松方コレクションには、ルノワールあり、ゴッホあり、クールベあり、…
ブリューゲル、モローまで含まれていて、その蒐集の幅の広さに圧倒される。
モネなどは、直接画家から買い求めた作品も多く、キャンバスの前に立って絵筆をふるう画家の姿を生々しく喚起させるのだった。
贋作が話題になり疑念を抱かされる展覧会もないではないが、コレクターの松方と、仲介人、画家その人との関係が近ければ作品も信頼できる。

松方幸次郎は、第一次世界大戦の特需により巨利を得て、それが膨大なコレクションにつながった。
川崎造船はその後、金融恐慌の時に、三千人以上の解雇者を出すことになる。
一部のコレクションは売らざるを得なかった。
ロンドンで保管されていた作品は、1939年の火災で焼失。
第二次世界大戦ではフランスに預けられていたコレクションは、敗戦国の財産として接収されている。

絵画が画家の手を離れてから辿る運命は、作者さえ知りようがない。
人間の運命以上に数奇である。
稀代の傑作として購入を勧められて購入したゴッホの「アルルの寝室」は、フランス政府に没収されたまま返還叶わず、今回はオルセー美術館より貸し出された。
それにしても何と多くの、重要な作品を蒐集したことだろう。
作品を鑑賞するだけでなく、コレクションの成立経緯を知る上でも興味深い特別展だった。




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アルルの寝室 ゴッホ(1889)


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鳥罠のある冬景色 ピーテル・ブリューゲル(子)


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牢獄のサロメ ギュスターヴ・モロー(1873~76頃)


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すいれん にて ’19.9.12

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