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zoom RSS 古賀茂明著「日本中枢の狂謀」を読んで

<<   作成日時 : 2017/07/21 21:38   >>

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何もこの猛暑のさなか、ことさら暑苦しい政治的テーマについて述べた本を読まなくてもいいじゃないか、と思わないでもないが、
著者の古賀茂明氏はマスコミに登場して以来、一貫して中立の立場から勇気ある発言を続けており、その誠実さにはぶれがなく爽やかな印象を保ち続けている。
はじめてテレビで観た時は、その訥々とした語り口に、エリートの元通産官僚らしからぬ好印象を与えたものだ。
上から目線もなければ、事情通の訳知り顔もみられず、肩透かしを食うようないわば自然体に好感を覚えた。
古館伊知郎がキャスターを務める「報道ステーション」のコメンテーターを、2015年3月27日を最後に降板させられている。
本書にその間の経緯が詳述される。
イスラム国(IS)捕虜になって殺害された後藤健二さん事件。
その対応における安倍政権の姿勢をを批判した著者の発言が官房長官の逆鱗に触れたという。

本書は、報道の現場で昨今危惧される「政権の圧力」或は「マスコミ側の自粛」の実態から語り起こされる。
著者が指摘するのは、圧力に屈したり自粛が常態化するうちに、マスコミが政権を監視する能力を失ってしまったということだ。
インターネットが普及した今日でもマスコミの影響力ははるかに大きい。
テレビに登場するキャスターやコメンテーターの意見は視聴者の耳目に心地よく、いつの間にか刷り込まれてしまいかねない。
情報を取捨選択するリテラシーが問われる所以である。
目に見えない圧力に屈して自粛するコメンテーターはまだしばらくはテレビに出演し続け、なにがしかの影響力を及ぼす機会が与えられるだろう。
一方、正直に「王様は裸だ」と真実を語る出演者は、以後報道の世界から放逐され、意見を発信する場を奪われるかもしれない。
そのぎりぎりの瀬戸際で、批評し続け、影響力を行使し世論を形成する一端を担うのがマスコミだろう。

先の見えない不透明な時代、人は大義に殉じるのはもってのほかとばかり、ささやかな保身に走りやすい。
具体的な圧力でもなく命令ですらない「雰囲気」に人は支配されやすい。
永井愛もザ・空気という作品に報道の現場に蔓延る自粛の「空気」を描いた。
上層部の意向をまず「忖度」する「空気」を読む習性がいつの間にか身についてしまう。
「忖度」せず、正論を述べるものは煙たがられ、さらに危険視されかねない。

第六章「甦った原発マフィア」では、東電が経産省の子会社化してしまう内幕について述べられている。
そこに国民の命と財産を一義とする国家の姿はかけらもみられない。
経済最優先、それも巨大な金融資本の要請によるものではないだろうか。
私たちは陰に怯え、格差の進行する社会でバランスをとりながらも落ちこぼれないように必死に生きている。
だからこそ強力で、しがらみのない誠実なオピニオンリーダーが今必要とされている。

古賀茂明は、さきの都知事選で民進党から立候補して敗れた鳥越俊太郎の前に候補に挙がっていた。
その時の経験からか本書には、政策面での具体的な提言も少なくない。
そして今私たちにできることは、「空気」を読むことより、堅物として変人扱いされるのを恐れず、原理原則を貫く努力かもしれないと思う。

ジャーナリズムとは報じられたくないことを報じることだ。それ以外のものは広報に過ぎない。

本書で引用されている、ジョージ・オーウェルの言葉である。



※ 日本中枢の狂謀  古賀茂明 著   講談社(’17.5)

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