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灯火親しむべし ジョージ・オーウェル著「パリ・ロンドン放浪記」を読む

今度の台風で、避難所が路上生活者の受け入れを拒否した事実がニュース報道された。路上生活者への対応は自治体によって異なるようだ。 報道されたのは台東区の例だったが お役所仕事の典型をみる思いがした。 ナチスの残虐行為も官僚制の結果だった。 命令を遂行したまでです。 と、アイヒマン裁判で被告は主張している。 本書…
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短篇を読む愉しみ 「20世紀イギリス短篇選」

短篇と長篇の違いは、密度の違いだ。 長篇は歴史、時代、風俗、人間を描き尽くそうと目論まれ、滔々と記述されてゆく。 一方、短篇は人生のある断面を切り取り、フォーカスすることによって、日常見逃しがちな風景や生活感情などを、鮮やかに浮き彫りしてみせる。 詩ほど短くないが、詩に近い衝撃を受けることもあれば、とりたてて言語化さ…
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岡本かの子 生誕130周年記念の集い

NPO法人高津区文化協会が主催する、上記タイトルの集いに参加しました。 川崎市の新住民にとって、二子玉川といえばまず岡本かの子でした。 意外なことに、地元でもすでに岡本かの子の名を知らない人も多く 今回の催しですら、彼女の著作を読んだことのない参加者もいてびっくりさせられました。 息子の岡本太郎は有名なのに。 …
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ミスター・ゴッド・ハンド その死を悼む

その医者でなければできない手術というのがありますね。 ついこの間、柔道整復師の先生とそんな話をしたばかりだ。 レントゲン写真を見て、ため息をつく先生。 「あの先生はどこか違うんですよ」と、同業者の声…etc. 30年耐えている人工関節の膝の話に 上手な先生なのですねえ、とびっくりする人もいる。 ミスタ…
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秋の夜長と図書館ワークショップ

秋の夜空に月を眺めるなどという優雅な習慣は以前にはなかったことだ。 鬱蒼とした樹木と軒が、空を遮っていたからだ。 こちらへ引っ越してきてからは、高台にある建物の3階から、朝に夕に空の変化を楽しむことができるようになった。 昨夜は西の地平、上空が夕焼けの帯となり、思わず見とれてしまった。 中天に半月に近い三日月がか…
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岡本かの子アムール幻想傑作集 美少年

二子玉川から二子新地へと田園都市線で多摩川を渡るたびに、広い河川敷を眺めながら、かの子の実家大貫家のあった土地はどの辺だろう、と思う。 二子玉川の素封家の家。 幕府御用達の豪商であり、神奈川県橘郡高津村に広大な土地を所有する大地主でもあった。 かの子は、別邸の青山で生まれている。 文学部を卒業したばかりの青年…
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櫻井よしこ著「何があっても大丈夫」

櫻井よしこ氏は、右派、右翼、right wing に位置づけられるジャーナリスト、言論人だ。 韓国の従軍慰安婦や徴用工問題では気を吐いた。 詳細な調査を踏まえた上で、左派の主張に切り込む姿勢は、なかなか魅力的に映る。 論戦における冷静さ、話術の巧みさ…に間然とするところがない。 人物に興味をもち、回想記「何があっ…
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宮前図書館のワークショップに参加しました

9月7日、土曜日の昼下がり、宮前市民館の大会議室で開かれたワークショップに参加しました。 まず図書館のあり方に興味があったのはもちろんですが、これから川崎市民として生きてゆく上で、まず地域に住む人たちの意見に触れたいと考えたからです。 予め宮前市民館・図書館に関するアンケート調査があり、その際、今回のワークショッ…
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平成の黒い霧 「国家はいつも嘘をつく」

本書が挙げた9つの嘘とは、以下の9点である。 1 「アベノミクス」の嘘 2 「民営化」の嘘 3 「働き方改革」の嘘 4 「2020東京五輪」の嘘 5 「日航ジャンボ機123便」の嘘 6 「平和安全法制」の嘘 7 「刑事司法」の嘘 8 「TPPプラス」の嘘 9 「消費税で社会保障」の嘘 多分、本…
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土と兵隊 麦と兵隊

本書中に果たして戦争協力的な表現があるかどうか。 改めて「麦と兵隊」を読んだ。 火野葦平は戦後、戦犯ともされ、公職追放となっている。 徐州会戦までの従軍記録は、あらゆるドクマから自由であろうと努めているようにみえる。 当然検閲は行われ、当局から削除を命じられた部分も含んでいる。 最終稿は、捕虜の殺傷シーンな…
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けものみち

すでに読んだかもしれない「けものみち」 1965年に映画化され、テレビドラマになること3度。 小倉の松本清張記念館では、成沢民子役が米倉涼子という最新作(2006)のポスターが目立った。 私が観ているのは、1982年NHKの「松本清張シリーズ・けものみち」だ。 鬼頭洪太役の西村晃があまりにリアルだったので、頭…
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原爆忌に

原爆忌はすでに74回を迎える。 去年までは、テレビで平和記念式典を観ていた。 4年前の12月に平和記念公園を訪れ、原爆ドームを目の当たりしてから、この暑いさなかの式典がより身近に感じられる。 けれども原爆投下とその被曝の実態は、体験者でなければ語れぬ言葉があり、悲惨を極めた現実には到底近づくことができない。 過去…
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定年後の過ごし方

60代後半、そろそろ70歳の大台に乗ろうという世代。 まだ現役で働いている仲間も少なくない。 人生百歳時代に入って、この年代で悠悠自適の生活を選択できる方が、まだ恵まれているのかもしれない。 健康上の理由もあり、早々に老人ホームに入居した私は、同期の仲間からみれば、勇み足?にさえ映るのだろうか。 皮肉屋のA氏…
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戦争は女の顔をしていない

旧ソヴィエトが第二次世界大戦で対独戦をたたかった当時の、動員された女性たちの聞き書き集。 その数は百万人を越えるという。 多くは10代の少女たちで、祖国を守れ!というスターリンの檄を素直に受け入れ、愛国心に燃えて、前線で戦うことを自ら志願した女性たちだった。 著者が取材を開始したのは1978年。出版するに当たっ…
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終戦記念日をひかえて 読書日記

参院選の結果、過半数に達した与党勢力も改憲に必要な議席数2/3を獲得できなかった。 これから野党が切り崩されないことを願うが、正直なところひとまずほっとした。 米中の貿易摩擦、北朝鮮問題、日韓の対立、資源や領土問題、…etc. 過去の世界大戦の勃発を顧みると、戦争になってもおかしくない状況が頻発している。 戦…
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読書日記

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり ・・・・・・ あまりにも有名な、平家物語は、冒頭の一節。 目覚ましを鳴らすまいとして起きる時、物語の導入部の言葉がふっと脳裏を過る。 朝6時前。 間もなく丘の下から遠く、寺の鐘の音がかすかに聞こえてくる。 ベランダの閉じられた窓ガラスを通して、ひそかな波動が鼓膜に伝わる…
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宇治十帖へ

タイトルに「いよいよ」と入れたのは、源氏物語は宇治十帖の方に物語的リアリティを覚えるという個人的な体質のせいで、ようやく至近距離の古典文学に参入するぞ、という意味である。 しかし、講師の助川幸逸郎先生の語り口のおかげで、源氏「本編」にも親しみを覚えるようになったのも確かだ。 雅な、雲上人の恋愛譚。教養としてのポル…
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読書会 バンカにて

月一回の読書会を開きました。 仲間とは読む本の傾向が違うので、そのことが却って新鮮な刺激になっています。 ジャンルを限定したマニアックな読書会もいいですが、何気なく手に取った一冊、ひょんなことから舞い込んできた本を読む機会というのも、読書会の大きな効用ではないでしょうか。 読書会にも様々な方法論があるようです。 少…
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光源氏退場前夜 「幻」の巻を読む

もの思ふと過ぐる月日も知らぬまに年もわが世もけふやつきぬる 源氏物語は幻の巻。 光の君は、上掲の歌を最後に、物語世界から退場する。 その後の死に至る経緯は描かれることなく、源氏物語は巻名のみ残る「雲隠」の巻を最後に、次世代の物語「宇治十帖」へと移ってゆく。 3月の例会では、前回の「御法」の残りと「幻」を、助川幸逸郎先生…
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紫の上の死 源氏の傷心

2月の源氏物語講座は、源氏最愛の女であった紫の上の死後、源氏傷心の日々を描いた「御法」から「幻」。 とりいそぎ、角川文庫ソフィアの玉上琢彌訳注の該当箇所を読んで、出かけた。 講師は岐阜女子大教授の助川幸逸郎先生。 文法などに拘泥せず、原文を読みながらさくさくと訳してゆくスピード感がよい。 その間に、宮中におけ…
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玲子さんの薔薇讃歌

玲子さんから「饅頭本」なる美しい写真集が送られてきました。 ん?饅頭本? はじめて聞いた言葉なので面喰いましたが、玲子さんの挨拶状から、葬式饅頭になぞらえて配られる故人の遺稿集を、生きているうちに本人自ら作成して、親しい方々に感謝の気持ちをこめて送りましょう、ということだと教えられました。 生の証しに、歌集や自…
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内館牧子著「すぐ死ぬんだから」を読んで

小説といえばまず、青春小説だろう。 永遠の定番である。 ところが、今日のように高齢化した社会では、老人小説?というジャンルが求められていることを、本書を読んで改めて痛感したのだった。 (武田泰淳に「めまいのする散歩」というのがあったけれど…) そもそも読書人口が減少している昨今、それでも読書を習慣にしている…
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チャヴ 弱者を敵視する社会

ガーディアン紙の書評が、本書の内容を簡潔に要約しているので 以下に引用する。 本書は、怒れる二十代の若者が、労働者階級の生活の「虚構」と「現実」を調べ上げ、支配層を厳しく糾弾し、現代イギリスの不平等と階級憎悪をぞっとするほど克明に描き出した本である。 今日の社会における「階級」と「政治」に、とてつもない影響力を…
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つたえるエッセイ 心にとどく文章の書き方

N市で源氏物語講座の講師を務めておられる助川幸逸郎先生が新刊を出された。 以前、同先生の「小泉今日子はなぜいつも旬なのか」を読んだ時は、資料を渉猟し、分析して「論」を展開するご苦労が推察された。 新刊「つたえるエッセイ」は、共著でもあり、別に個性的な文章を書こう、などという大それた野心に応じるものではなく、どうしたら…
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読書日記

地域の公開講座「文豪が語る源氏物語」で紹介されたのが、上掲のエッセイ集に収められた「執念き気色、おぼろげの物にあらず」という、源氏物語は葵の巻に言及した文章です。 最近の大学生の中には大江健三郎を知らない人さえいるとか。 その話は、講師の助川幸逸郎先生から聞いたのですが、ノーベル賞作家を知らないとは!と驚きました。 …
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アンソロジーは愉しい 「建築文学傑作選」

アンソロジーを読むのは、肩の凝らない、けれど意外な発見に満ちた知的な愉しみになるのではないだろうか。 若い頃のように全集を読破する情熱と根気に欠ける年代に至ると、いわば「費用対効果」の理屈でわずかのエネルギーでより大きな快を得られる安易な道をとろうとするわけでもないが、しぜんとそのような選択をしてしまうようだ。 …
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「小保方晴子日記」を読む

言い古され、今ではすっかり影を潜めた「読書の秋」という言葉。 何故、秋が読書に最適な季節かというと、言うまでもなく「秋の夜長」からきているのだろう。 訪ねてくる人もなく、電話もかかってこない時間帯。 ぬくぬくとベッドにもぐりこみ、睡魔に襲われるまでは誰にも邪魔されずに読書三昧。 ミーハーな好奇心から手に取る本もあ…
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「老年」について考えさせる3冊の本

「老人」にまつわる慣用語の中には、言葉そのものが消極的な「老人」をつくりだしかねないものがあるように思う。 寿命が延びたため「前期高齢者」という言い方はされなくなったようだが、65歳を迎えて「えっ!私が高齢者?」と思った人は多いだろう。 ところが近代文学などに、40歳代でもう、おばあさんという記述を見かけて、大いに違…
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代官山 蔦屋書店にて

町から本屋が消え、いつの間にか書店はわざわざ都心まで出かけて行くものになってしまったようだ。 図書館の蔵書から検索し、予約を入れる。 購入するにしてももっぱらネット書店を利用する。 本の物質性から縁遠くなったような気がする。 ところが、テキストだけが重要ならば、電子本で事足りるかというとそうはいかなくて、まだまだ…
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季節のかたみ

様々な課題を先送りしたまま、あたふたと夏が過ぎ去ってゆこうとしている。 8月晦日、猛暑は相変らず。 昼下がりにスコールのような雨が降った。 それも長続きせず、雨後の激しい日射が湿度を100%以上にまで押し上げるかのような不快さ。 いっときは熱く湿っぽい大気に押しつぶされそうな勢いだった。 夕方近く、人を見送って玄関…
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