住宅型有料老人ホームの使い方

見学や一日二日の体験入居では、分からないことがたくさんある。
10か月くらいから季節を一巡するホーム暮らしを経て、ようやく見えてくる老人ホームの現実。
経営組織の姿勢や、介護に対する考え方と、利用者(入居者)側の要望との間には、多少とも乖離がある。

社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームは、本来福祉的施設だが昨今、収入によっては月額利用料も有料老人ホームとの差が小さくなってきているという。
主に株式会社が経営する有料老人ホームは、当然のことながら利潤を生むべく方向づけられているわけだが、常に人を全人格的に相手にしている点では一般の企業とは異なる。
資本主義に馴染まない業種というのは他にもあるけれど、老人ホームほどその矛盾があらわになるビジネスも少ないのではないだろうか。
サービスは、応分の対価と交換される。
経済的に余裕があれば、人材配置やサービス内容の充実、終の棲家としての快適な環境に恵まれた有料老人ホームを選びたいところだ。

しかし、誰もが言うのは、家が一番!
住み慣れた地域、気楽さ、自由度などは、まるで空気のように日常、その恩恵を意識しないでいる。
一方、地縁・血縁は、安心を与えてくれると同時に、干渉と義務を伴うものだ。
他人同士の寄り合い所帯である老人ホームは、距離感を尊重しつつも協調すべきは協調する。
それらが非常に意識的に行われることになる。

入所して間もなく、私のめまいがそうであったように、体調を崩す人がいる。
家族の助け合いは、ここでは仕事になる。
その意識が、慣れない間は、入居者に大きな緊張を強いているのかもしれない。
ただ、身近にいる専門家、看護師、ケアマネージャーに気軽に相談にのってもらえるのがありがたい。
その点、家族はあまり頼りにならないから。
余計な心配をかけまいとして、話す打ち明けることさえできずにいる。

入居して数か月を経過すると、誰でもこんなはずではなかった、と思うことが出てくるものだ。
Aさんが言った。
「ふだんおっとりして気の利いた娘じゃないのだけれど、いいこと言うのよ」
お母さん、食事ができて、寝るところがあって、お風呂に入れれば、それで幸せじゃない…、って。
確かにその通りだと、その時私も思うのだった。
寡黙だというその娘さんの、隠された叡智は深い。


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妹手製のマスク 涼しい夏用マスクが欲しい!

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