不食という生き方

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人が食に費やすエネルギーの話をしていた時、本書の著者である秋山佳胤さんの名が出た。
何も食べずに生きていける、と主張し、実際ご本人も実践されているとか。
話半分で、ふんふんと、ともすれば苦笑いしそうになるのを抑えながら、聞いていたのだけれど、「とんでも本」と決めつけずに、どのように不食の理論を展開するのか、一度読んでみようと思った。

どんなに荒唐無稽な話でも、一片の真実が含まれているに違いない。
そう考える私は、お人よしか、柔軟性とか自在なパラダイム転換に対してコンプレックスがあるのかもしれない…
とはいえ、やはり本書の主張するところ、プラーナ(気)を食べるだけで生きていける、とする理論には全く賛同しかねるのだった。
100%譲って、もし著者の理論が正解だったとしたら、現在私たちが目にする世界は決して存在しなかっただろう。
地球上に飢餓は起こり得ない。
食物連鎖のサイクルも、人が弱肉強食と呼ぶ掟も、食うために働くモチベーションも生まれようがない。
野生もなければ文化もない。

となれば本書はやはり「とんでも本」の部類に入るだろう。
ただ、著者の主張には飽食の時代、競争社会への批評があり、過激な分私たちの現実社会を映す鏡になっていると思われた。
過剰な食糧生産の一方で、飢餓と貧困、大量の食材の廃棄が起きている。

他者との繋がり、環境との共生が抜き差しならないものとして自覚され、愛や共感が生まれる時、人は自らの欲望を容易に制御できるだろう。
そんな正論を今さらのように述べてみるのも面映ゆい。
テレビを席巻するグルメ番組、美食に血道をあげる人々は、かつての古代ローマの貴族のようだ。

因みに著者は、弁護士であり、医学博士である。


※ 不食という生き方  秋山佳胤 著  幻冬舎(’16.5)

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この記事へのコメント

ワトソン
2019年11月30日 21:11
食べることが必要ないとしたなら、生物の発生からの歴史はまったく違ったものになっていたでしょう。
人口は、その時の食物の生産量、つまりどれだけの人間を食べさせられるかで決まってしまいます。食べられない者は餓死です。それがほんの少し前までの常態です。現在も人間以外の動物はそうでしょう。
2000年前(イエスのころ)の世界人口は2億人と推定されています。現在は80億くらいでしょうか。
ヨーロッパの産業革命は、世界を大きく変化させましたが、その前に農業の生産量の向上があり(農業革命ともいわれます)、それによりヨーロッパの人口が100年で2倍に増えました。その労働力が産業革命を支えました。