岡本かの子 生誕130周年記念の集い

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NPO法人高津区文化協会が主催する、上記タイトルの集いに参加しました。
川崎市の新住民にとって、二子玉川といえばまず岡本かの子でした。
意外なことに、地元でもすでに岡本かの子の名を知らない人も多く
今回の催しですら、彼女の著作を読んだことのない参加者もいてびっくりさせられました。
息子の岡本太郎は有名なのに。

少しでも多くの人が岡本かの子の著作に親しみ、その文学の香の豊潤さを再認識する機会となれば、という意図で企画された記念の集いでした。
プログラムは、日本近代文学の研究者で文芸評論家の伊中悦子氏による講話、地元在住の彫刻家・梶原瑞康氏創作の「鬼子母神像」の紹介、関根淳子の一人芝居「鬼子母の愛」(三味線:新保有生)、神田京子の講談「岡本太郎」という、盛りだくさんの充実した内容でした。

岡本かの子を知らない人でも楽しめ、彼女の生き方に興味を覚えて、作品への呼び水となるよい企画だったと思います。
岡本かの子の文学に精通していても、一人芝居を観て改めて、母の愛の深さ、複雑さに思いを馳せた人もあったのではないでしょうか。
関根淳子さんはもう10年もこの演目を演じ続けているということで、非常にこなれた洗練された芝居になっていました。
舞踊の美しさに朗読と台詞の声音、抑揚が加わり、構成には間然とするところがありませんでした。
「子殺し」が頻々とニュースになる昨今、普遍的であると同時に、非常に今日的テーマだと思います。

講談の神田京子は、とにかくしゃべりのうまさが圧倒的で、すでに周知の事柄を語るにつけてもその話芸には観衆を惹き付けてやまない魅力があり活力に満ちていました。
伊中悦子氏の講話からは、苦しみ抜いた人として仏教への道が開かれた岡本かの子についてまだまだ知りたいという思いを深くさせられました。
かの子の作品からは芥川龍之介をモデルにした「鶴は病みき」と、「老妓抄」がピックアップされ解説が付されました。

岡本太郎は生前、母・岡本かの子について、文壇や評判を気にし過ぎていた、と語っていたとのこと。
腺病質であるがゆえに生への希求が人並外れていたかの子は、肉食系女子の印象が強いですが、この際読み直す側面もあるのでは…、とふと考えさせられました。
(川端康成はかの子を評価していたが、谷崎潤一郎はそうではなかった)
それにしても何と瑞々しくも肉感的な表現が散りばめられていることでしょう。
加えて、手放しのナルシズムは、気弱な読者の無意識を代弁するものでしょうか…(^^;)

わが家の遠つ代にひとり美しき娘ありしといふ雨夜夜桜

うつらうつらわが夢むらく遠方の水晶山に散るさくら花

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この記事へのコメント

ワトソン
2019年10月20日 22:28
岡本太郎は、万博の’太陽の塔’以前にも知られていましたが、母の、かの子を知る人は今でも僅かでしょう。地元の川崎でも同様と思います。まして、読んでいる人はさらに少数でしょう。私もそうです。さらに、恥をさらすと、’鬼子母神’の名は知っていましたが、どんな神なのか全く知りませんでした。いま、ウィキで見て、安産、子育ての神と知りました。釈迦に諭されたとありますが、大乗仏教と同じく、釈迦没後数百年の創作であることは間違いないでしょう。
しかし、母が子を産み育てることは、言うまでもなく、人類存続の大前提であり、それが信仰の対象になるのは当然すぎるほど当然です。わが国の土偶に、女性と妊婦が多いのもあたりまえです。人は数十年で土にかえるが、女は新しい命を産むのですから。
谷崎が評価していなかったそうですが、芸術至上の谷崎らしいですね。
2019年11月17日 18:27
ワトソンさん、ありがとうございます。
かの子は中央公論に作品を発表したがっていたのですが、すでに谷崎が連載小説を掲載していたそうです。
かの子の才能を懼れ、ライバル視していたという説もあります。