秋の夜長と図書館ワークショップ

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秋の夜空に月を眺めるなどという優雅な習慣は以前にはなかったことだ。
鬱蒼とした樹木と軒が、空を遮っていたからだ。
こちらへ引っ越してきてからは、高台にある建物の3階から、朝に夕に空の変化を楽しむことができるようになった。

昨夜は西の地平、上空が夕焼けの帯となり、思わず見とれてしまった。
中天に半月に近い三日月がかかり、明るい星がひとつ、月光にも負けじと瞬いていた。
飛行機が赤い光を点灯して夜空を横切ってゆく。

翌朝窓を開けると案の定、富士山のくっきりとした輪郭が見えた。
前景の山系は丹沢と大山だそうだ。
目に良いのは、星空より地平の山並みを見ることだという。
焦点を合わせるにも、星はあまりにも遠いから。

天体観測の効用のひとつは、自分がちっぽけな塵に過ぎないことに気づくことではないだろうか。
限りなく小さな存在であることは逆説のようだが、深い癒しをもたらしてくれる。

多摩川で花火大会の開かれる今宵、二子玉川へ行く人で電車も混んでいた。
私は二回目の図書館ワークショップの会場から帰るところだった。
ワークショップは、図書館が区役所とともに移転するにつき、区民の声を拾い収斂させることによって、新しい図書館像を創造してゆこうというものだ。
税金を投入して行われる駅前開発事業が、真に区民の声を反映した空間をつくりあげることができればと思う。

明日こそ雑用をすべて片づけて読書に専念しよう。

※ 冒頭の写真は、10月5日の夕景


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↑↓ 図書館ワークショップ                 ’19.10.6


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沢村貞子は名優だった。役柄との間にすき間がなくて、母はよく「うまいわね~」とため息を漏らしていた。
名エッセイストでもあり、本書は第25回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞している。
芸能一家に育った著者は、浅草に生きるおかみさんたちの働きぶり、辛抱の仕方、喜怒哀楽を、生活の狭間に観察し、さりげない筆致で、人情と感情の襞を描く。

私の浅草  沢村貞子 著  平凡社ライブラリー(’16.6)

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幸田露伴の短編、表題作以外に3篇がおさめられる。
「幻談」は、釣り師の、いわく言い難い心情を、そこはかとない微妙な筆が活写した作品。
その上、ミステリー仕立てのできごとが、随筆とフィクションを見分けがたいものにしていて、読書自体が夢幻の体験のようだ。
「骨董」には露伴の博識が遺憾なく発揮されていて、堪能する。

幻談・観画談  幸田露伴 著  岩波文庫(’90.11)

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この記事へのコメント

ワトソン
2019年10月07日 22:58
私は、約35年前に東京からこの地に引っ越してきました。
驚いたことはたくさんありますが、その一つは、夜遅い出張からの帰り道で、自分の影が道路にあるのに気が付き、「どの電灯だろう」と見まわしましたが、それらしいものはなく、月の光による影でした。月光で影が出来るのに驚くと同時に、それを今まで見たこともない自分に驚きました。
ある作家が言っていましたが、明治の初めころまでは、「夜は真っ暗で、昼とは別世界だった」という意味のことを言っています。ほんのこの前まで、人にとって、夜は魑魅魍魎の世界だったことを想いました。