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<<   作成日時 : 2017/02/04 23:11   >>

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ミステリーを読むのは久しぶりだ。
一日が終わり、一冊のミステリーを抱えてベッドにもぐりこむ時の解放感と幸福感は何とも言えない。
若い時なら、翌日が何の予定もない休日であればなおのこと、
さあ思う存分読み明かそうとばかり、すべてを忘れ非日常の世界にどっぷり浸かってページを繰ったものだ。
そのうち夜が白々と明けそめてきて、慌てて灯を消すのが常だった。

残念ながら今では一時間もしないうちに眠くなってしまう。
本書を知ったのはウリ坊さんのブログからだ。
ここに書く感想文は、マニアでもなく、無用な読書の愉しみを知る乱読者の独り言に過ぎない。

まず「怪しい店」という、ミステリーでも店を舞台にした短篇集であるところが私の趣味にあったようだ。
理髪店、古物商などは、足を踏み入れたことのない店だ。
古本屋も最近はずいぶん縁遠くなってしまった。
表題作の「怪しい店」の舞台は、何と人の話を聴く「みみや」という商売。
それらの店で起きた事件を、推理作家有栖川有栖と犯罪学者の火村英生准教授が解いてゆく。

推理小説の魅力は、凝ったトリックよりも、犯罪者の心理と読者を引きこむその構造にある。
純文学作家が推理小説を書きたがるのは、その構造を借りて人間心理の謎を描きたいというのもあるだろう。
五編の中で一番の力作は「怪しい店」だが、私は詩情あふれる「潮騒理髪店」が好きだ。
旅先でのいちげんの客として、閉店日の理髪店で見た風景。
ミステリーの形式は、作家の様々な意図を、しぜんに納得させる魔法の装置だと思う。
「潮騒理髪店」には、理髪店が出てくる小説が列挙されている。
筆頭に挙げられているのは、志賀直哉の「剃刀」だ。

夜は短いし、人の一生で読書に費やす時間も限られている。
それに比べると古今東西の先達の労作は夥しい。
当たり前のことが、何とも悔しく切なく思われる。




画像 怪しい店  有栖川有栖 著
       角川文庫(’16.12)

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
本当に怪しい店を読んで下さったのですね!
ありがとうございます〜〜
「推理小説の魅力は、凝ったトリックよりも、犯罪者の心理と読者を引きこむその構造にある。」という空さんとは逆に、ウリ坊はトリック重視なんです(笑)。著者(有栖川有栖さん)も初期はガチガチのトリックを作品にされていたのですが、最近はかなり作風が変わってきた感があります。
ウリ坊
2017/02/12 19:27
ウリ坊さん、楽しい本を紹介してくださって、ありがとうございます。
トリック重視というウリ坊さんは、手練れのきっとマニアックな推理小説の読み手でいらっしゃるのでしょうね。
空の通う美容室の斜め向かいに理髪店があるのですけれど、レトロな店構えが気になっています。
小説の効用は、現実に新たな光を当て、何気ない日常に奥行を与えてくれることですね。

2017/02/14 09:55

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