風を待ちながら・・・

アクセスカウンタ

zoom RSS 永井愛 作・演出「ザ・空気」を東京芸術劇場で観る

<<   作成日時 : 2017/01/29 18:11   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 1 / コメント 0

画像




永井愛 原作・演出による二兎社公演「ザ・空気」を東京芸術劇場で観た。

リーフレットに
「上からの圧力?
そんなもの、感じたことはないですねぇ」
とある。
報道の現場では、自主規制がいつの間にか常態化しているのだろうか。
露骨な圧力がかけられなくとも、いつかジャーナリズムの処世が、規制を内面化し、妙なバランス感覚を養っているのかもしれない。
報道の自由を大上段に振りかぶる報道人はやがて、行く先を失い、口を封じられ、つまるところジャーナリストとしての使命の一端すら果たせなくなる…

永井愛の作品は、たとえ深刻な政治的テーマであっても、これまではどこかユーモアを含んでいて、その変化球に彼女らしい批評的精神を感じさせられたものだ。
だれもが右傾化しつつある社会に多少とも危機感を覚える昨今、今回の新作に変化球はみられず剛速球で投げられた直球を、観客はまともに顔面に食らうことになるだろう。
ユーモアの入り込むすき間もないほど、報道の現場は、権力による巧妙なコントロール下にあるようだ。
行き詰まって発作的に自殺を試みる登場人物に、大げさすぎるという感想を抱く観客は、大物政治家の秘書が自殺へと追い詰められた過去の例を思い出すとよいかもしれない。

トランプ氏が現実に大統領職に就き、近視眼的な大統領令を発令している今
フェイク・ニュースという言葉も広く知られるようになった。
フェイク・ニュースは論外だが、フェイク・ドキュメントなど、切り口ひとつで映像の意味が変わってしまう制作の難しさ。
そのような現実に直面すると、真実とは何か、と真剣に問わざるを得ない。
たった一つの真実なんて、つまるところ確として存在するのだろうか…
そんな無力感に襲われる時、空気を読む、という微妙なバランス感覚が発動し、我々は思考停止に陥ってしまうのではないだろうか。

観劇後、ロビーで自作本にサインする永井愛さんの姿を見かけた。
「重いテーマでしたね」と感想を述べたところ
「私も、取材するまでは、こんなにひどいと思っていなかった」という。
実際、報道現場を取材した作家の思いであり、危機意識である。
あるいは演劇的テーマではないのでは、という疑念を払拭する結末だった。
報道の責任は現場の制作者ではなく、経営陣が負うことになっている。
それはGHQの方針だったという。
批判の多い記者クラブ制度の功罪。

永井愛さんが、あえて?このテーマを選んだ理由、已むに已まれぬ危機感をひしひしと感じた。
社会にまん延する「寄らば大樹のかげ」的な処世術が、やがてファシズムへと雪崩を打つかもしれないという警告と受け止めたしだいである。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
報道局の空気を読むとは・・・
3日のことですが、舞台「ザ・空気」を観劇しました ...続きを見る
笑う社会人の生活
2017/07/04 07:50

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
永井愛 作・演出「ザ・空気」を東京芸術劇場で観る 風を待ちながら・・・/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる