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zoom RSS ドキュメンタリー映画「抱擁」を観る

<<   作成日時 : 2017/01/20 15:02   >>

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これは是非観ねば、と思い、最近物忘れのひどくなった母と出かけた。

「身に迫ったテーマなので」と冗談めかして言うと
「私もそうなのよ!」と公民館の企画者からの声が返って来た。
見渡したところ、参加者は女性ばかり。
それも親の介護をする年代が多いようだ。

映画「抱擁」は、テレビのドキュメンタリー番組を多く手掛けてきた坂口香津美監督。
本作は平成27年度文化庁映画賞優秀賞を受賞している。
認知症、鬱、パニック障害などの症状を呈する母にカメラを向け、その日常を追ったドキュメンタリーだ。
母親・坂口すちえは、長女をがんで亡くしたのをきっかけに精神の混乱を来し、精神安定剤が離せない生活を送っている。
その後、愛する夫と死別してから、さらに症状が悪化したようである。
映像を観る限り、穏やかな笑顔を見せてふつうの会話に応じる姿もあれば、発作的に自殺を口にしたり、止めるのも聞かず独り夜の散歩に出かけるなどの異常行動がみられる。
恐らく精神安定剤が効いている間は安らかな気持ちで過ごすことができるのだろう。

集合住宅での独居は、ヘルパーの介護を受けるにせよ、孤独と不安がつきまとう。
妹のマリ子は、姉を故郷の鹿児島県種子島に連れ帰り、近くに親戚のいる環境で共同生活をはじめた。
認知症は、精神的な不満が異常行動を引き起こすといわれる。
海と緑に囲まれたふるさとの懐かしい風景の中で、血縁者の愛情に包まれて、スチエは穏やかな表情を取り戻してゆくようにみえる。
それでも安定剤は欠かせない。
足の衰えは隠せないが、逆縁で娘を喪うという哀しみを乗り越えることができるだろうか。

老いという苦痛に加え、深い喪失感に見舞われた時、どのようにしてその苦悩を癒し、残された人生をなおも人間的に生きてゆくことができるのだろうか。
きっとその答えはあるはずだ、と私の楽観は告げているのだが…
生老病死の四苦をやわらげ、病的な症状から立ち直ろうとする力こそ、「人間的」と名付けたい気持ちに襲われた。

老いは予めリハーサルすることができない。
老親を見守りながら、想像力をはたらかせても、ようやくその苦悩のとば口に立つことしかできない。
寄り添うということの難しさをつくづく思う。
坂口監督のカメラがすべての介護者の目の代わりとなって教えられることの多い作品だった。



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